2021/09/22 16:47

こんにちは! 北海道北斗市でベリー栽培農園【ハウレット農園】を営んでいるカナダ人農家Justinです。


夏の盛りが過ぎて秋に入り、今年も苗木の植え付けシーズンがやって来ましたね。ホームセンターや苗木屋さんでもブルーベリーの苗がたくさん並ぶようになりました。


ブルーベリーは病害虫の被害が割と少なく、開花期・収穫期・紅葉期と一年を通して様々な表情を楽しめることから、今では庭植え用の植物として非常に人気がありますよね。



↑こちらは去年撮影した紅葉期の農園の写真。10月に入ると、このように畑一面が真っ赤なブルーベリーの葉で染まります。


ウチの農園は父が1990年に開園した自然栽培の農園なのですが、以来ずっとブルーベリーを栽培してきました。僕が農園を引き継いだのはおよそ10年前ですが、毎年この時期になると、お客様や知り合いに


庭でブルーベリー栽培にチャレンジしてみたいんだけど、植え方が分からない


植え付けてみたんだけど全然育たない


といった相談をしょっちゅう受けます。


身近にいる人たちにもこれだけ聞かれるということは、きっと同じ疑問・悩みを持っている方は他にもたくさんいらっしゃるはず

と思い、今回この記事を書いてみることにしました。


ただ、ブルーベリーの特徴や植え付けの方法、注意点などを詳細にわたって書くと記事としての分量がボリューミーになりすぎること必死なので、前・後編に分けた上で、できるだけ分かりやすく、かつ簡潔に「失敗しないブルーベリーの苗木の植え方」という点に焦点を絞って書き進めていきたいと思います。


ちなみに、こちらの記事では「植え方」だけをご説明していますので、「育て方」(主に剪定の方法)については、後日新たに別の記事をアップする予定です。こちらも併せてご参照くださいませ。


それでは、早速行ってみましょう。


まずは、ブルーベリーがどんなものを欲している植物なのか理解しよう


まずは、植え付けを始める前に、ブルーベリーがどんな土と環境を好む植物なのか理解しておきましょう。


1. 酸性の用土(ピートモス)

2. フカフカの苗床(苗が根を張っていく部分)

3. たくさんの水


ざっくり分けると以上の3点のみ。 


他にも色々あることにはあるのですが、ここでは絶対に押さえておくべきポイントだけご紹介しました。


ピートモス」「フカフカの苗床」「たくさんの水」。


とりあえずこれだけ頭に入れていただければ、生育がうまくいく確率はグ〜ンと上がります。


ブルーベリー栽培失敗の原因→ダントツ1位は「土づくりをやらないこと」


農家としてこれまで10年近くやってきた中で、ひとつ自信を持って言えることがあります。


それは、

野菜にしろ果物にしろ、ぶっちゃけ最初の土づくりさえちゃんとやっておけば、後はある程度放っておいても自然が勝手に育ててくれる

ということです。


ちょっと大雑把な感じもしますがw これは間違いないです。


これまでたくさんの方からブルーベリー栽培についての相談を受けてきましたが、往々にして失敗の原因のほとんどは、

庭の土にそのまま苗を植え付けてしまう

でした。


言い換えると、土づくりをせずに苗を植え付けてしまうということですね。これ、本当に多いんですよ。現に僕も就農当初これをやって大量の苗を枯らせてしまったことがあります(T_T)


先程書いた通り、ブルーベリーは※酸性の用土(ピートモス)がとにかく大好きなんです。


※土には酸性とアルカリ性があり、その度合を数値化したものをPH(ペーハ)と言います。植物によって好むPHは様々ですが、ブルーベリーは酸性の用土であるピートモスが好きな植物の代表格。詳しい説明は省きますが、ここでは、「ブルーベリーはとにかくピートモスが好きで好きでたまらない」という点だけ覚えていただければ大丈夫です。


庭に直接植え付けると、PHを調整していない土地はアルカリ性だったり、酸性だったとしても度合いが弱かったりして、ブルーベリーの生育に適さないケースがほとんど。


また、2. フカフカの苗床(苗が根を張っていく部分)もPHと同じくらい重要な要素で、土質が硬かったり粘土っぽかったりすると、うまく根を伸ばしていけないんですよね。


というのは、木の根というと、




↑こんな感じで太くて逞しいイメージが一般的かと思いますが、ブルーベリーの根は全然違っていて、


↑このように、主軸(太い根)から毛細血管のように細い根が分岐してたくさん伸びてくるからなんです。


地中深くには根を張らず、地表から割と近い深さで横へ横へと根を張っていくのも特徴のひとつ。


繊細でデリケートな根を張るブルーベリーにとって、フカフカの苗床を用意してあげることも、元気に生育させていくための必須条件と言えます。


そんなわけで、後編では土づくりの具体的な作業の手順の他、用意するもの、気をつけていただきたい点などについてご説明していきたいと思います。


ブルーベリーは「かけた労力に対してダイレクトに応えてくれる健気で素直な植物」というのが、これまで栽培に携わってきた自分の持っている印象です。


他の野菜や果物ももちろんそうなんですが、ブルーベリーはきちんと土づくりをしてあげるとひときわ元気に生育するので、是非、愛情を持って生育環境を整えてあげてください。


育ちやすいように頑張って準備を整えてあげた木が、2年・3年と経つにつれて、背伸びをするかのように気持ちよさそうに枝を伸ばし、やがてたくさんの実をつける様は感動的ですし、我が子のように愛おしくなりますよ。


後編をお楽しみに(現在執筆中)